薬は何で飲めばいいの?
患者様よりお茶で薬を飲んでるけど良いかな?という質問は薬局でよくされます。
医療機関でこの質問をすると医療従事者からは殆どと言って良いほど水で飲んで下さいと返事が返ってくるはずです。
なぜ水がいいのか、どんな水がいいのか、お茶ならどんなことがあるのか、お茶で飲んでもいいのか説明させていただきます。
まず水についてですがご存知の方も多いかと思いますが、硬水と軟水にわけられます。
水の中にカルシウムとマグネシウムが多く含まれるものが硬水。
少ないものが軟水です。
WHO(世界保健機関)の基準では120mg/l以上を硬水。
120mg/l未満を軟水としています。
日本の基準では100mg/l以上と未満になっています。
軟水 軟水
日本の水道水や日本製のミネラルウォーターは軟水、外国製のミネラルウォーターは硬水が多いです。
水で薬を服用する際、一部の薬で、硬水の中のカルシウムやマグネシウムと作用を起こし、吸収が悪くなるものもあるため、薬の服用には軟水をお勧めしています。
吸収が悪くならない薬は硬水で服用しても問題ありませんが、どの薬がダメなのかとか考えずに飲めるので、水で薬を服用する場合は軟水にしていただくと良いと思います。
高齢者や腎機能が低下している方は硬水を飲むとカルシウム分を濾過出来ないため腎臓に負担をかけるので軟水の方が身体に優しいと思って下さい。
健康な方なら硬水はミネラルが豊富な為、続けて飲むことにより基礎代謝をあげ脂肪の吸収を抑えたり、脂肪を燃焼しやすい身体にしてくれたり、マグネシウムの含有が多い為、お通じにも効果がありますが、飲み過ぎには注意をして下さい。
赤ちゃんの粉ミルクや子供が飲む水に対しては、ミネラルが多い為、身体の負担になる事から軟水がオススメです。
では、薬の服用にお茶ならどうでしょう。
わたしは服薬指導時、『いつも薬はお茶で飲んでるがいいですか?』と質問を受けた時は、『服用しても良いですよ』と指導させていただいています。
一般にお茶で薬を服用しないようにという理由は、お茶に含まれてるタンニン(カテキン)やカフェインが薬に影響を及ぼすものがあるというところから水での服用を勧めているところが多いです。
タンニン(カテキン)とカフェインでどんな影響が?
タンニンですが、タンニンを多く含む飲み物で鉄剤を服用するとタンニンと鉄が結合し吸収阻害が起こり治療効果に影響を与えると言われていました。
しかし、普段飲むお茶のタンニン量くらいでは治療効果にさほど影響がないことがわかってきました。
タンニンに関してはコーヒーや玉露、紅茶には多く含まれており、ほうじ茶や麦茶、ウーロン茶、番茶にはあまり含まれてないことから、鉄剤をお茶で薬を服用するならオススメは、ほうじ茶や麦茶、、ウーロン茶、番茶がむいています。
カフェインの方から考えてみるとカフェインによる薬の吸収には全く影響はありません。
ただ、カフェインの薬理作用に血管収縮、利尿作用や覚醒作用があります。
その他、カフェインによる胃酸の分泌促進が薬の吸収に影響したり、胃腸障害の増加、市販の風邪薬等カフェインを含む薬の成分と重複効果がでることがあります。
睡眠導入剤や安定剤では、カフェイン自体の覚醒作用による作用減弱が考えられます。
健康な成人の場合、悪影響のない1日のカフェイン摂取量は400mgと推奨されています。
カフェイン含有量の多いドリップコーヒーでは100ccに60mg程です。
ほうじ茶や麦茶、ウーロン茶、番茶なら100ccで20mgと非常に少なく、カフェイン含有量の少ないほうじ茶か麦茶、ウーロン茶、番茶では薬の服用に影響を与え治療効果に支障をきたすことは無いであろうと思われます。
以上の事から薬をお茶で服用する際は、ほうじ茶や麦茶、ウーロン茶、番茶なら問題ないと考えています。
タンニン(カテキン)やカフェイン含有量の多いコーヒーや玉露、紅茶は避けていただく方が良いかと思います。