先発とジェネリックとオーソライズド・ジェネリック

薬局で薬を調剤してもらう時、『先発にしますか？ジェネリックにしますか？』と聞かれると思います。

患者様より『先発でないと絶対嫌。』『どっちでも良いからよく効く方で。』『値段の安い方にして。』返答は様々です。

先ずは薬局やクリニック、病院で何故先発かジェネリックにするか質問する背景になったのかから説明させて頂きます。

日本の医療保険は世界と違い国民皆保険でまかなわれおり、少子高齢化の時代背景で医療費がかかる高齢者を働く世代でカバーし国民皆保険を維持していくことは、このまま対策もせず年数をかさねると、継続することが不可能になってきます。

2025年には団塊の世代(第一次ベビーブームが起きた時代に生まれた世代)が75歳以上の後期高齢者となり、日本の超高齢化社会時代に突入していきます。

若い世代に国民皆保険を残していきたい、高齢者の医療体制を維持していきたい、このような思いから医療費の財源を確保していこうと厚生労働省の指導のもと数年前よりジェネリック医薬品の推進を医療従事者に課せられていました。

現時点では国から社会保険や国民健康保険使用の患者様に対して、医療費の財源確保のお願いとなっている為、ジェネリック医薬品を選ぶことの強制力はありません。

生活保護の患者様に対しては原則的にジェネリック医薬品を使用することとなっています。

日本全体で2020年9月には使用量目標も80%目指すようにと厚生労働省の目標数値も出されていました。

薬局や医院、病院全ての医療機関にこの目標数値は掲げられています。

医療機関で先発医薬品かジェネリック医薬品を使用するかの質問をする背景になりました。

地域の中核を担う病院の院内で使用する医薬品に関しては、先発医薬品しか存在しないもの以外はジェネリック医薬品を使用している病院がほとんどだと思います。

当薬局でもジェネリック医薬品の使用を推奨はさせて頂いています。

ご存知の方は少ないかと思われますが、ジェネリック医薬品の中にはジェネリックと名前はつくものの、先発医薬品と全く同じものがあります。

住吉区のバイアル調剤薬局で第一三共エスファ様による先発医薬品とジェネリック医薬品、皆様には聞きなれない言葉かもしれませんがオーソライズド・ジェネリックの勉強会をしました。

先発医薬品の特許が切れると他社の製薬会社が同成分の医薬品であるジェネリック医薬品を販売する事ができますが、ジェネリック医薬品と言われる医薬品の中にはオーソライズド・ジェネリック(AG)と呼ばれるものがあります。

オーソライズド・ジェネリックとは自社で特許を持っている先発医薬品を製造している会社が、同じ工場で同じ製法で、同じ製造過程で医薬品を製造し、錠剤の刻印と医薬品の名前だけ変更して出荷し、同じ会社の子会社や他社の医薬品メーカーで販売している医薬品の事です。

『同一の医薬品』と製薬会社の営業の方は説明されますが名前が変わり値段が安くなった先発医薬品です。

分りやすく言えば、クラビット錠500mgという先発医薬品を製造販売している第一三共株式会社が、自社の工場でクラビット錠500mgを製造し、最後の錠剤本体に入れる刻印と錠剤を入れるシート、販売する箱、販売する商品名だけ変え、先発医薬品のクラビット錠500mgとジェネリック医薬品のレボフロキサシン錠500mg「DSEP」を製造します。

こうして出来たレボフロキサシン錠500mg「DSEP」の事をオーソライズド・ジェネリックと言います。

中身は先発医薬品にも関わらず値段はクラビット錠500mgは355.1円/錠に対し、レボフロキサシン錠500mg「DSEP」は114.5円/錠と値段も安くなります。

オーソライズド・ジェネリックという名前、ジェネリックの言葉いるのか疑問は感じます。

現在はおおよそ50品目ほどありますが、これからもどんどん発売されてくると思います。